武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画研究室

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アントワープ王立芸術アカデミー大学院視覚芸術科版画コース在籍
2012年度ベルギーフランダース政府給費留学生

風早 小雪 さん

(2012年大学院版画コース修了)

kazahaya.jpg

Photo by Geert Decroos

略歴

  • 1987 茨城県生まれ
  • 2010 武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻卒業
  • 2012 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了
  • 2014 アントワープ王立芸術アカデミー大学院視覚芸術科版画コース修了

主な展示

  • 2011 第88回春陽展/国立新美術館(奨励賞)
    個展 '白と黒の境界線'/Cafe and Gallery PARADA
    第8回高知国際版画トリエンナーレ/いの町紙の博物館
  • 2012 武蔵野美術大学修了制作展/武蔵野美術大学(優秀賞)
    第11回セミナリヨ版画展/南島原ありえコレジオホール(特別賞 渡辺千尋賞)
    個展 'Time Machine'/誠文堂ギャラリー
    クラコウ国際版画トリエンナーレ2012/ Bunkier Sztuki Contemporary Art Gallery, Cracow, and Rondo Sztuki Gallery, Katowice, ポーランド
    第57回CWAJ現代版画展/東京アメリカンクラブ(第55,56回)
    STARTERSPRIJS/アントワープ王立芸術アカデミー(観客賞)
  • 2013 Master MaquetteV/ The Verbeke Foundation, Kemzeke, ベルギー
    Sea the Line Expo/ Fort Napoleon and Lood Oosteroever, Oostende, ベルギー
    グアンラン国際版画ビエンナーレ2013/グアンランオリジナル版画制作ベース、中国

パブリックコレクション

  • 南島原ありえコレジオホール(長崎) Verbeke Foundation (ベルギー)

作家HP

  • Koyuki Kazahaya

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[time line in Oostende]  2013  パネルに木炭  200×1500cm

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[Through the wall, through the window] 

2013  パネルに木炭, プロジェクター  300×900cm  Photo by Stig De Block

Q: 最初に留学したいと思うようになった動機や、きっかけを聞かせてください。
A:大学院2年の秋頃、就職するか、留学するか悩んで時期がありました。私は学芸員と教職も取っていましたし、仕事も嫌いではありませんでした。そして自身の制作について行き詰まりを感じていたので、新しい空気を必要としていました。丁度その時、アントワープ王立芸術アカデミーの教授である、イングリット先生が武蔵野美術大学に来て、講義をする機会がありました。彼女の作品のコンセプトは人間の記憶、そしてリトグラフとインクジェットプリント、映像や立体を組み合わせたインスタレーションで、クラシカルな版画の枠を越えた「版」という性質を使った現代アートでした。それはまさに私がやりたいと思っていたことでした。講義の後、アントワープに行きたいという旨を伝え、作品を見てもらいました。その後、ベルギーと日本の版画交流展を見に京都に行き、また、フランダース政府奨学金の公募があったので、イングリット先生に内諾書を書いてもらいました。
Q:アントワープ王立美術アカデミーではどんなこと学んでいますか。
A: 専攻は版画で、主に石版を学んでいますが、銅版画やドローイング、映像等も作っています。大学院の授業では、専攻の他に学科とマスタークラスという他大学、他学科混合の実技があります。1つ目のマスタークラスでは,Verbeke Foundationで2週間滞在制作し、3m×9mのドローイングを展示しました。2つ目のクラスでは、オーステンデという海沿いの街に1週間滞在し、福島とオーステンデの海をテーマとした7枚の版画、映像、2m×15mのドローイングを展示しました。また版画の授業ではフランツマゼレールセンターという版画のレジデンススタジオに行き、アメリカや中国等の美大から集まった版画の学生と一緒に1週間滞在制作しました。その後作品は各地の大学で展示され、戻ってくる予定です。大学院ということもあり、実践的な授業が多いです。マスタープロジェクト(修了制作)では、リトグラフを元に、色んなメディアを使用したインスタレーションを作りたいと考えています。
Q: 将来、どういう活動をしたいと考えていますか。
A: 私の作品は自身が撮影した写真、映像をもとに作られています。作品化することは自身の経験や考えを再構成、再構築することを意味します。版画、写真、映像、タブロー、様々な媒体が私の中では同時に共存しています。私にとって版画はとても大切です。しかし環境やテーマによって色んなメディアを使い分ける、もしくは併用していく方が自分の制作スタイルに合っているように思います。それは自身のテーマを深めると同時に相互作用も引き起こすからです。制作を続けていると、作品が私を色んなところに連れて行ってくれます。それは自分が思っているよりも簡単に人種や国境を越えてしまいます。活動の場も日本に限らず、ヨーロッパや世界各地を拠点にできれば理想です。また、展示の企画や教育等にも携わっていきたいと考えています。アートを通して人とコミュニケーションをとること、それは私のモチベーションを高める事にもなるからです。
Q: 今、ムサビで版画を学んでいる後輩の学生、或いは、これから版画を学ぼうとする受験生の皆さんにメッセージをお願いします。
A:私は、銅版画がやりたくて武蔵野美術大学に入りました。2006年、油絵学科に1年次からの版画専攻が新設され、私はその一期生として入学しました。今現在に至るまで、色んな選択肢がありました。大学に入る前は芸術学に転向しようかと思っていた時期もありましたし、3年次に油絵に転科しようか考えていた時期もありました。しかし、版画をやっていなければ、今、私は制作を続けていなかったと思います。版画は非常に狭い分野であり、不自由な面も多いです。しかし、不自由な事は返って多くの可能性を秘めています。私は版画を通して色んな発見、あるいは再発見をし、国内外問わず様々な人に出会いました。それらは私の制作の核になっています。また、工房は良い制作場所だと思います。制作する上で自分自身と向き合って行く事は重要であり、避けて通れない道です。そんな中、一緒に制作できる仲間がいるということは幸せなことだと思います。版画はある一定の技術がなければ作れません。技術を磨く事も大切な事です。しかしながら武蔵野美術大学は技術に偏り過ぎず、自分自身の制作をできる場所です。何を選び、どう表現して行くか、それはあなた次第です。そして近い将来、アートの現場で会えるのを楽しみにしています。

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