Graduate

2012年版画専攻卒業

三木茜

ゴールドスミスカレッジ

  • 経歴

    1989年

    香港生まれ

    2008年

    武蔵野美術大学油絵学科版画専攻入学

    2012年

    武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒業

    2013年

    ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ MFAキュレーティングコース 入学
    (武蔵野美術大学80周年記念 海外留学研究奨励奨学金 2013年度受給生)

  • ロンドンの風景

  • キュレーティングコースのスタジオは ファインアートコースのスタジオと同じ建物の中にあります。

  • Q:最初に留学したいと思うようになった動機や、きっかけを聞かせてください。
    A:制作をしていく中で自然に生まれた「何のために作品を作っているんだろう」という疑問から、作品が人の目に触れる状況そのものに次第に関心が移っていきました。それがすぐにキュレーションに結びついたわけではありませんでしたが、展覧会を見る事が好きで、海外で勉強することに興味もあったので、大学3年の頃には卒業後の進路として留学を考えていました。
  • Q:ゴールドスミスカレッジではどんなこと学んでいますか。
    A:ゴールドスミスは総合大学です。その中にファインアート、デザインの他に音楽、パフォーマンス、教育学部や文学部もあります。私の在籍しているコースはアート科に属していますが、理論と実践、両方を非常に重視しています。例えば、1週間のうち2-3日は理論ベースのセミナーやレクチャーがあり、週の残りは実践(個人でテーマや問題を見つけて文献を調べる、展覧会を観に行く、アーティストのスタジオを訪れるなどリサーチやフィールドワーク)にあてられます。また1年を通してインディペンデント・リサーチ・プロジェクトという課題があり、これは一つの展覧会やプロジェクトをキュレーターとして実践するというものです。そのためには、ただ好きなアーティストや作品を見つけてくるだけではなく、その作品を見せる意義や方法を言語化し、実際にマネジメントしていかなければなりません。理論と実践を横断的に進めていくのは難しいですが、そのプロセスで多くの発見があります。
  • Q:将来、どういう活動をしたいと考えていますか。
    A:留学生活は楽しいですが、一方で「キュレーションとはいったい何なんだろうか」と悶々とする日々です。今はアーティストと並走するような仕事がしたいと考えているので、実験的なアートスペースやレジデンス事業に興味があります。自分が過去にやってきたことよりも、自分は何が出来るか、どんなことをやってみたいかを常に考えていきたいと思います。
  • Q:今、ムサビで版画を学んでいる後輩の学生、或いは、これから版画を学ぼうとする受験生の皆さんにメッセージをお願いします。
    A:「作らなければいけない」という意識にかられてしまうとつい視野が狭くなってしまいますが、「何を作るのか」だけではなく、「なぜ作るのか」を考えるのもとても大切なことです。専門的な技法を学ぶという点では、版画専攻で銅版、木版、リトグラフ、シルクスクリーンをひと通り学んだおかげで版画作品を理解するのに大変役立っています。けれども、受動的に学べるのはあくまで技法までです。作品を通して鑑賞者に技法の面だけを伝えても意味がありません。そのため大学で学ぶこと以外に個人でのリサーチや試行錯誤が求められると思います。その両方に時間と労力を割くのは簡単なことではありませんが、意識するだけで違ってくるはずです。そのためにも、学生という身分を利用していろいろなところに足を運んで、いろいろな人の話を聞く機会を大切にしてください。構内でもたくさんのチャンスがあるはずです。フットワークの軽さは今後の制作の幅と比例していくと思います。