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2020年10月29日

<FAL/gFAL学生公募展示>『あなたは飛沫遮断機能のある医療用またはそれにふさわしいマスクをしていますか』

Exhibition

コロナによる混乱で様々なイベントや展示が中止になる中で、武蔵美でも残念ながら芸術祭が中止になりました。
油絵学科では学生たちに、このような状況の中でも積極的に制作や展示に関わって欲しいという思いから、2号館 FAL/gFAL での展示企画を募集し、

集まった企画内容を油絵学科専任教員が厳正に審査した結果、3企画の展示が決定いたしました。

ぜひご高覧ください。

 

『あなたは飛沫遮断機能のある医療用またはそれにふさわしいマスクをしていますか』

 

出展者:

AHN SUBIN
KIM YOONJIN
SEOL JAEYOUNG
NAGASAWA FU

場所:gFAL

期間:11月3日 (火)〜11月7日(土) 9:00〜17:00(最終日は15:00まで)

<注意事項>

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、入構に際して、以下の注意事項をご確認ください。

ご来校前に検温してください。37.5度以上ある場合には入構できません。

マスクの着用をお願いします。

入構時に正門の守衛室で氏名・住所を記帳してください。(学外の方のみ)

入構後は所定の場所以外の立ち入りはご遠慮ください。(学外の方のみ)

 

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公開プレゼン審査後記、あるいは「無謀さ」について

 

今年度から始まった学生公募プロジェクト後編は、3つの枠に27組が応募するという熾烈な争いになった。応募者は学部1年生から大学院2年生に至り、審査するこちらの予想をはるかに上回る参加者たちの本気度に圧倒されつつ、4時間におよぶ高密度の公開プレゼン&審査会は本当にワクワクした。その中で僕が最高点10点をつけたのが、版画専攻3年生の長沢楓を代表とする「あなたは飛沫遮断機能のある医療用またはそれにふさわしいマスクをしていますか」である。何より僕が評価したのは、まず今この時期にコロナ禍におけるマスクをテーマにするというタイムリーさ、である。「そんなの今話題のトピックを取り上げりゃいいんでしょ?簡単じゃん。」さにあらず。未だ全貌が見えない現在進行形のこの未曾有の事態を展示のテーマする無謀さは、スベった時の救いのないカッコ悪さを想像したら、とてもじゃないが安易に手が出せるものではない。まずそういう彼らの、失敗を想定していない無謀さに惹かれた。さらに企画を練っていくうちに代表者の長沢が作家としては参加せず、キュレーションに徹することになったという、腹を括った展覧会への姿勢にも心が動いた。加えて版画専攻生に彫刻学科生が絡み、韓国人留学生が重要なキーになるというのも大いに興味をそそられた。

展示プランもかなり思い切った構成で、素直に実見したい衝動に駆られたが、正直、具体性には乏しく、本当に魅力的な展示になるかどうかは未知数であった。それでも彼らの多様な無謀さに「賭けてみたい」と思わせたのは、長沢の自信満々でありながら、もう後には引けないという、何か切羽詰まったような雰囲気だったと思う。

近代以降、美術の新しいページを開いてきたのは、常に無謀な若者たちであったことを今こそ思い出そう。

未知の予感に嫌が応にも胸が高鳴るのである。

 

油絵学科教授 袴田京太朗

 

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