Graduate

1997年版画コース卒業

立川公子

県立高校教諭・版画家

  • 経歴

    1973年

    神奈川県生まれ

    1997年

    武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
    県立高等学校 教諭

  • 個展

    1998年

    シロタ画廊(銀座)

    1999年

    セッションハウス ガーデン(神楽坂)

    2000年

    ギャラリーアートポイント(銀座)

    2001年

    ギャラリー花影抄(根津)

    2002年

    松明堂ギャラリー(小平)

    2003年

    ギャラリー花影抄(根津)

    2004年

    ギャラリー219(中目黒)

    2006年

    ギャラリー花影抄(根津)

    2008年

    相模原市民ギャラリースタッフセレクション21 立川公子展(相模原)

  • グループ展

    2000年

    Contemporary Japanese Printmaking(PendulumGallery/ VANCOUVER,CANADA)
    (WorkshopOM・Malaspina Printmakers Society交流展)

    2004年

    「多摩川キャッチボール」立川公子・石原美枝子二人展(ギャラリーエス)

    2005年

    Re-Identification 「再確認」国際版画交流展3つの工房からのメッセージ(神奈川大学セレストギャラリー他)

    2007年

    新作家たちselection展 (松明堂ギャラリー/小平)
    『多摩川キャッチボール2』立川公子・石原美枝子二人展(現代ハイツギャラリーDEN/世田谷)

  • 受賞歴

    1997年

    版画展 新人賞

    1998年

    第4回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展 スポンサー賞
    あおもり版画大賞展 奨励賞

    1999年

    第1回山本鼎版画大賞展 大賞

  • Water storage tank

    etching, aquatint
    75×100cm
    2007

  • Flood gate

    etching, aquatint
    75×100cm
    1998

  • Clock tower

    etching, aquatint
    25×50cm
    2006

  • Pond

    etching, aquatint
    20×30cm
    2002

  • Q:高等学校でのお仕事の内容についてお話を聞かせてください。
    A:現在、美術を専門的に学べるコース・専攻のある専門高校におります。私は普通科目の美術1と、専門科目の素描や油彩、版画などを主に担当していますが、年によっては製図や色彩学、デザイン、CGなども担当することもありました。高校の現場では授業以外の業務が本当に多いのですが、部活動指導、行事の企画運営、会計業務、進路指導、ポスターやパンフレット等の作成、PTA活動、研究会の運営など、仕事内容は多岐にわたります。
  • Q:高校生の活動の中に版画をどう取り込んでいますか。
    A:授業では多色刷りの木版画で友人と交換できる年賀状やカレンダーの制作を行っていました。水性の多版多色刷りによる木版画は浮世絵で世界的に有名ですが、制作や鑑賞を通して日本の美術文化を理解し、作品を大切な人たちと共有する喜びを感じてもらいたいと思っています。以前、イタリアの高校との交流で木版のデモンストレーションをしたところ、大変好評でした。他にも授業では銅版画やシルクスクリーンによる布へのプリントなどが人気です。また授業以外では、美術部で毎年、「はんが甲子園」という大会に挑戦しています。高校生が3人1チームとなり、作品審査を通過すると、新潟県の佐渡島で行われる大会に参加することができます。そこで約3日間、共同制作で木版画を制作する大会なのですが、技術・感性だけでなく、チームワークや集中力が問われる大会で、生徒にとって大変貴重な経験になっていると思っています。
  • Q:ムサビの版画で学んだことが高校での指導に役立っていると思うことはありますか。
    A:版画で経験したすべてのことが今の自分の活動の基になっていると思います。さまざまな版種を経験できたことをはじめ、専攻した銅版画では、素材、道具の扱い、制作姿勢など多くのことを学びました。高校では時間や用具の不足、危険性等から版画は実施しづらい環境になりつつありますが、大学で学んだことを生かして、工夫したりアレンジしたりすることができたと思います。
  • Q:ムサビで版画を学んでいた頃のお話を聞かせてください。
    A:あるとき池田良二先生が銅版画の制作を「耕す」と表現されていたことがありました。ちょうどそのとき、腐食で失敗をしてしまい、どうにかならないかと試行錯誤をしていたときだったのですが、その言葉から、硬く冷たい抵抗感のある金属という素材に対して、地道な作業の積み重ねや腐食液の作用で時間をかけて豊かな土を育てていくようなイメージが湧き、とても腑に落ちたことを憶えています。手軽で便利なデジタル表現が身近な高校生にも、失敗したら終わりということではなく逆にチャンスであること、失敗から始まる、大変だけれども豊かな、表現もあるということに気がついて欲しいと思っています。
  • Q:今ムサビで版画を学んでいる後輩の学生、或いは、これから版画を学ぼうとする受験生の皆さんにメッセージをお願いします。
    A:版画専攻では、表現者として大切な、自分のテーマを追求すること、様々な素材と向き合うこと・道具の扱い・共同作業・プレゼンテーションなどを仲間と切磋琢磨しながら、学べる環境にあると思います。そこで学んだことは、平面表現だけでなく、インスタレーションや、コンセプチュアルな表現、デザイン・工芸や、メディア表現など様々な展開ができると思います。
    今振り返ると、版画に限ったことではありませんが、すべてが今の自分にとって大事な経験になっていると思います。皆さんもあまり考えすぎずに貪欲に色々なことに挑戦してください。